2020/09/13 09:51

猛威を奮う新型コロナウイルス


2019年12月に中国・武漢で初めて検出された新型コロナウイルス(COVID-19)が今日でも日本国内で猛威を奮っており、9月現在で感染者2550万人、死者85万人となっています。
感染機序としてCOVID-19のスパイクタンパク質がヒト細胞のACE2受容体に結合することによって新型コロナウイルスに感染します。


緑茶が新型コロナウイルス(COVID-19)に効果があるか検証


2020/7/2の静岡新聞から出された記事に「対コロナ 緑茶効能、研究に着手 静岡県、議会答弁」と興味深いことが書いてありました。

志村信明農林水産担当部長は、緑茶に新型コロナウイルスの感染を抑える効能があるかを調べる研究に着手したと明らかにし「本年度中をめどに感染阻害効果とそのメカニズムを明らかにする」と述べた。
県お茶振興課によると、緑茶は県立大の研究でインフルエンザウイルスの感染予防効果が確認されている。新型コロナウイルスに対しては、茶の研究実績が豊富な県立大教授ら専門家が参画し、県環境衛生科学研究所で5月から、培養細胞を使って感染抑制効果を確かめる研究に取り組んでいるという。県茶業研究センターがカテキンなど茶の成分の提供や分析を担う。

以前より、インフルエンザウイルスには緑茶がいいとよく聞いておりましたが、新型コロナウイルス対してのお茶の効能について調査する取り組みには私たち茶業界関係者にとっては期待したいところです。

海外論文でも緑茶と新型コロナウイルスの研究が進む

海外でも緑茶や紅茶が新型コロナウイルスに効果があるのではと研究が進められております。
下の論文では「COVID-19の予防および治療における緑茶および紅茶ポリフェノールの抗ウイルス活性」と題されてインドにあるムンバイ化学技術研究所医薬科学技術部の研究者が論文発表されています。
論文には、緑茶に由来する植物化学物質「没食子酸エピガロカテキン(EGCG)」は、ウイルスに対するその抗ウイルス活性のためにテストされており、抗ウイルス効果に加えて、抗腫瘍性、抗炎症性、抗菌性、抗酸化性、抗増殖性を示す多機能生理活性分子として認識されているとのことです。
また、紅茶にはテアフラビンというフラバノールから構成される抗酸化性のポリフェノールがあり、緑茶から紅茶に加工する過程で作られ、タフラビンに関しても研究されており、抗腫瘍性、抗ウイルス性、抗炎症性、抗酸化性および抗菌性のような幅広い生物学的特性で知られているそうです。



さらに論文には「COVID-19に対するこれらの没食子酸エピガロカテキンおよびテアフラビンの抗ウイルス特性を調査することは、この最新のパンデミックに対する治療法を見つけるための進歩であるかもしれない。」と書かれており、読み進めていきますと…


Khanらは、既に抗ウイルス活性が報告されている18種類の植物成分と、新規コロナウイルスの7種類のタンパク質との分子ドッキングを確認するための研究を行った。これらのドッキング結果は、COVID-19に対して最も強力な抗ウイルス活性を持つ可能性のある2つの薬剤、レムデシビルとクロロキンと比較した。メインプロテアーゼ、HR2ドメイン、S2サブユニットのポストフュージョンコア、Sタンパク質、RBD-ACE2複合体、NSP15エンドリボヌクレアーゼ、および遊離酵素結晶構造メインプロテアーゼのタンパク質データバンクIDは、図1に示すように、それぞれ6lu7、6lvn、6lxt、6vsb、6vw1、6vww、および6y2eであった。EGCGは、スクリーニングした全ての植物成分の中で非常に高い結合親和性と低い阻害定数を示し、特にSARS-CoV-2の潜在的標的である6vw1の場合には、阻害定数が低いことがわかった。


表 3 および 4 に EGCG のレムデシビルおよびクロロキンとの結合エネルギーおよび阻害定数(μM)の比較評価を示す。本研究のハイライトは、EGCGがウイルスタンパク質との結合性に優れていることであり、参照薬であるレムデシビルやクロロキンよりも優れた抗ウイルス活性を示すことが期待されます(Mfら、2020年)。

と大変興味深い研究結果が書いてありました。
個人的には「レムデシビルやクロロキンよりも優れた抗ウイルス活性を示すことが期待される。」とありますが、正直、半信半疑です。
しかし、SienceDirectに掲載されるぐらいなので、しっかりとした論文なんだと信じ、研究の続報をお茶を啜りながら待ちたいと思います。